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京都 知恩院の「ミッドナイト念仏 in 御忌」に行ってきました

去る4月18日、京都の知恩院で開催されたミッドナイト念仏 in 御忌に行ってきました。

 

毎年4月18日20時から翌日19日朝7時まで開催されるこのイベント。参加者は好きな時間に入り好きなだけいて、ひたすら南無阿弥陀仏と念仏を唱えながら木魚を叩くというもの。この体験はきっとここでしかできないとても特別なものだったので、ご紹介します。

 

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このイベントのことを知ったのはちょうど1年前。ブログ記事かニュース記事を読んだのだと記憶しています。当時は2015年には行きたいと思ってたんですが、すっかり忘れていて、当日の夜になってその日に開催されることを知り、慌てて行きました。一旦は来年で良いかなと思いつつも、今年は開催日が土曜日で翌日のことを気にする必要がなくこの機会を逃すまいと参加することにしました。

 

知恩院に着いたのは0時30分頃。少し離れたところからでも木魚のポクポクが聞こえ、こんなおもしろそうなイベントだしそこにはきっと長蛇の列が並んでる...のかと思いきや、そんなことはなく、受付までは50人程が並んでた程度でした。ただ、割りとすぐ入れるのかと甘く見ていたのですが結局行列の進みは遅く、受付に行けるまで1時間程かかりました。夜も遅かったせいか、行列を見ると20代くらいの人が多かったように思います。グループで来てる人たちもいれば一人の方もいました。

 

 会場は国宝である三門の楼上。氏名の記入など受付を済ませて暫く待つと階段を登るよう案内されました。上層部に辿り着くと目の前には薄暗い仏堂で100人ほどが木魚を叩く異様な光景が。お坊さんに案内されて空いてる席(左前方)に正座して座り、周りに合わせるように木魚を叩き始めました。

 

お堂には、釈迦如来像と十六羅漢像が安置されていますが、目の前にはニヤッと笑みを浮かべる仏像がおり、異様さが増してなかなか良い席でした。初めは周りを観察しながら木魚を叩いていて、どれくらいいようかなと考えていたり、隣の人が寝てるんじゃないかと気になったり。

 

ただ、暫くすると、無心で木魚を叩くのが心地良くなっていて、次第にきれいに揃ったポクポクに身を委ねその一部になっていた自分がいたような気がしました。考えなくても手が動く、揃えようと思わなくても周りに合わせられる、一体となることで個がなくなる。謎の高揚感を覚え、木魚を叩く手にも力が入っていたかもしれません。何かに集中する、という経験はありますが、無心になるというのはなかなか経験できるものではなく、これが人生で初めてだったかもしれません。ただひたすら無心で木魚を叩き続けふと冷静になると、気づけば周りの人も多くが入れ替わっていてどれだけの時間が経ったのか全く分からないながらも時が流れていることは感じました。

 

ちなみに左前方近くにはベースのように低めの音がなる木魚が置いてあり、参加者は列を作って交代交代で叩いていました。これを勝手にリード木魚と呼んでいましたが、これを叩く人が交代する際にリード木魚のペースが乱れ、全体も乱れることも何度かありました。ただ、メトロノームの同期現象のように次第にまた揃っていき薄暗い仏堂の中で一体感を感じることができました。

 

たださすがにずっと座って木魚を叩いていると足が痛くなったり眠くなったりもして来るもので帰ることに。入り口付近に戻り時計を見ると気づけば3時前で、1時間強ポクポクしていた計算になりました。ちなみに、その時間にはさすがに行列も短くなっていて並んでいたのは10人程のみ。すごいことを経験したという達成感と高揚感と共に家路につきました。

 

ミッドナイトとは言いつつ朝まであるのでオールナイト念仏の方が正確のような気もしますが、とにかくネーミングが素敵すぎるこのイベント。ちなみに「御忌」(ぎょき)とは知恩院を創立した法然の忌日法要のことだそうで、毎年4月18日〜25日がその期間にあたるようです。

 

知恩院を出てすぐにまた来年も参加しようとカレンダーアプリに登録しましたが、それほどに意義のある不思議な体験でした。今から2016年4月18日が楽しみでなりません。月曜日なので行きにくいところではありますが...。

 

京都や知恩院に行ける距離にお住まいの方は一生に一度は行ってみることをお勧めします。それ以外の地域の方も少しでも興味をお持ちであれば是非足を運んでみてください。いくら言葉で説明してもここで経験した感覚を説明できるものではないので、ぜひ一度ご自身で体験してみてください。