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スーパー歌舞伎Ⅱ「ワンピース」がめちゃくちゃ楽しかった

先日、平日の午後に休みを取って大阪松竹座まで行き、スーパー歌舞伎Ⅱ「ワンピース」(以下ワンピース歌舞伎)を観てきた。人生初歌舞伎。能と狂言なら課外学習みたいなので観に行ったことがあるけれど、寝た記憶しかない。ワンピースと言えど歌舞伎。前日の夜寝付きが良くなかったため、公演中に寝てしまわないか不安な部分もあったけど杞憂だった。眠たくなる余地なんかない。約25分の休憩を2回挟んで計3幕。休憩も含めて4時間20分程あったけど、めちゃくちゃ面白くて全く飽きることがなかった。

 

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話は公式サイトにあるように原作コミックスの51〜60巻あたり。もう少し前のチョッパーが仲間になるくらいまでは繰り返し読んでたのだけど、この辺りは一度読んだことがあるくらいで内容についていけるか怪しい部分もあった。会場に向かう際には、もう一度読んでおけば良かったと準備不足を反省したりもしていたけど、始まってみればそんなことは杞憂だったことが分かった。いちいち設定を紹介してくれる訳ではないので、一度読んでおかないと意味不明な部分もあるかもしれないけど、まあ細かいところは分からなくても問題ないと思う。誰が主人公ルフィの味方で誰が敵かくらいは当然分かるようになってるし、その設定の背景まで分からなくても楽しめる。なぜなら全編通してヒャッハー!て感じだったから。マッドマックスを観てると思っても良い。

 

まず登場人物が全員派手。原作でそれぞれが派手な格好をしていることに加えて歌舞伎だからということで当然なのかもしれないけど、衣装が豪華。これまで小林幸子の衣装がなぜあれほど話題になるのか理解できなかったけど、ようやく分かった。小林幸子凄い。衣装が派手なだけでも観客は楽しめる。ただ、衣装が凄いからと言って必ずしもそれぞれが似ている訳ではない。最初に出てくるゾロやブルックなんかは原作を忠実に再現している印象で、気のせいか声もアニメと似てる感じがした。しかし、ナミなんかはそもそも再現する気がないんじゃないとかと思うくらい似てなくて極道の妻みたいなキャラになっていた。でも、だからといってがっかりする訳でもなく、それはそれでありのような気もした。

 

そして役者さんがとにかくかっこ良かった。バトルシーンの動きも、歌舞伎っぽいポーズ(これが初歌舞伎なのでイメージだけど)も見応えがあった。アクロバティックな動きをする雑魚キャラもいた。エースが飛ばす炎役なんてのも出てきたけど、そちらも動きに見どころがあった。3階から見てたし、細かい表情や顔つきまでは分からなかったけど、役者ファンっぽいマダムも多く、多分顔つきもカッコイイのだと思う。見たことはないけど、テニミュってこんな感じなんだろうなーと思った。

 

そして演出が凄かった。初バトルシーンで拍子木が鳴った時には、これぞ歌舞伎のイメージだとテンションが上がった。まあこれくらいは想像の範囲内だったけど、そこから、市川猿之助さんが演じるルフィとハンコックが同じ舞台に並んで早着替えで会話したり、イワンコフの登場シーンがやたら派手でカマバッカ王国の住人が踊り出したりと、ストーリーが分からなくても楽しめる要素がたくさんあった。さらには、原作には出てこなかったはずの滝が出てきてその上で殺陣が行われたり、ルフィが宙釣りになったと思ったら歌が流れ、ルフィが観客の上を飛んでいく中、観客席に役者さんが現れて観客総立ちで手拍子したりと、とにかく派手だった。歌舞伎なんだけど、ミュージカルを見ているようで。

 

さらには隣に座っていた見知らぬマダムから休憩中に飴ちゃんを2つもらうなんてことも。これぞ大阪。そしてイチゴ味とアーモンド味という絶妙な組み合わせ。きっと演出の派手さにテンションが上がっていたに違いない。最後には若い人でも楽しいのかと聞かれたりもしたけど、こんなに派手で楽しくないはずがなかった。

 

後半にはエースも出てくるし、白ひげや黒ひげ、シャンクス、海軍大将の3名も出てきて、まさにオールスター。原作のこの辺りが選ばれた理由は、ここにあったのかもしれない。登場人物がやたら多くてとにかく盛り上がるシーンばかりで、最後には終わってしまうことが残念でならなかった。もっともっと観ていたかった。とにかく楽しくて、これぞエンターテインメント。

 

自分がチケットを取ろうとした時には、17,500円の1等席と6,500円の3等席しかなく、2万円弱も出せないと思い3等席を選んだけど、17,500円出す価値も十分にあった。これからある博多公演分のチケットは18,000円の席と9,800円の席しか残っていなさそうだけど、それだけ払う価値は十分にあるので少しでも興味を持った人には是非見てほしい。間違いなく楽しい時間を過ごせるし、凄いものを見たと思えると思う。これから見る人が羨ましくもある。